防災について

2018.10.16

岡山県の地震の記録

先日島根県西部で発生した地震。最近の南海トラフ地震や火山の爆発のニュースなど気がかりなことが増えてきている毎日ですが、この地震で不安な気持ちを抱く方が多くなってきていると聞きました。
1人暮らしの方、阪神淡路大震災を経験した方など夜も不安で眠れない、といった話もされています。むやみに心配する必要はないのかもしれませんが、『災害の少ない岡山県』に暮らしているから安全、という思いはそろそろ捨てて、最低限の準備や心構えが必要になってきているのかもしれません。

ここでは、1946年(昭和21年)の昭和南海地震、1854年(安政元年)の安政南海地震について振り返り、岡山でも過去の大地震で被害があったことを知ることで、みなさんの防災対策の一助になればと考えます。

【参考資料】

岡山県南部における南海地震の記録
- 昭和南海地震・安政南海地震 -
岡山県備南県民局 平成19年5月 発行

1. 昭和南海地震

歴史上、南海地震は東南海地震と同時または連動して発生しています。
昭和南海地震は、昭和東南海地震発生(1944年12月7日)から2年後の1946年12月21日に発生しました。

昭和南海地震の記録

  • 発生日時 1946年(昭和21年)        12月21日午前4時19分
  • 地震源  和歌山県潮岬沖
  • マグニチュード 8.0
  • 地震動  水平方向の揺れが数分続く
           玉島 総震動時間 9分
倉敷署管内 内訳(合同新聞12月22日付)
  • 人的被害  死者 5名 負傷者 15名
  • 家屋被害  全壊 302件 半壊 238件
    小破 90件

 被害発生原因

岡山県南部に被害をもたらした主要な要因は地震動に伴う土地の液状化に、数分間続く強い揺れが加わったことです。
また注目すべきことは、地震による液状化の発生は土地の地盤沈下を伴う事です。
地盤沈下の程度が30cm~60cmに達しており、この地盤沈下の発生現象となった著しい液状化現象が、耕地ばかりでなく区域内の道路・堤防・建物などに甚大な被害を与えています。
高梁川下流域の旧玉島町・連島町(現倉敷市)は干拓地であり昭和南海地震でも数多くの建物被害が発生してます。

昭和21年以降も児島湾(湖)沿岸・高梁川下流域・笠岡湾沿岸では埋立や干拓事業が継続されるとともに瀬戸内海沿岸各地で埋立地が拡大されています。更に、農業用干拓地及び塩田跡地が宅地に転用され市街化が進んだ地域も多くなっています。

このように県南部一帯で、昭和南海地震当時よりも液状化危険地帯が拡大するとともに、市街化の進展により、現在は、一層危険性が増大していることに留意が必要です。

2. 安政南海地震

安政南海地震は安政東海地震発生からわずか32時間後の1854年12月24日に発生しました。
安政南海地震の地震規模はマグニチュード8.4と大きく、昭和南海地震の4倍の大きさの巨大地震でした。

安政南海地震の記録

  • 発生日時
    1854年12月24日午後4時ごろ
  • 地震源
    南海地震震源域(土佐沖)
  • マグニチュード 8.4
  • 地震動
    水平方向の揺れが数分続く

(参考)- 安政東海地震 -

  • 発生日時
    1854年12月23日午前8時ごろ
  • 地震源
    東海・東南海地震震源域(遠州灘沖)

(参考)- 嘉永7年の年号改定 -

東海・南海の両地震による大被害が全国的に発生したことから、嘉永7年11月27日に年号が嘉永から安政に改定された。
年号改定年は、さかのぼって改定された年号を用いるため安政元年の地震となっているが、古文書には嘉永7年の記述が多い。

 震度

岡山県南部で震度4~6と推定されています。
安政南海地震も地震動が長く続き、県内にも次の記録が残っています。

※ 地震の揺れは長い揺れにつき、3、4丁(330~440m)離れた所へ行って帰るほど長時間揺れた。
……1分間に70m歩くとして10分強(『矢吹家文書』)

 津波

全国 → 高知県 最高16m 徳島県 最高9m
県内 → 最高5m程度 『秋岡家文書』参照

 被害状況

全国 → 死者3万人 全壊家屋2万戸 半壊4万戸 津波流失1万5千戸
県内 → 現時点では推計数がない

特に被害状況がまとまって記載されているのは、下記の「郡々破損所寄目録』です。建物・道路・堤防の著しい被害とともに田の噴砂などの程度が克明に記録されています。
これらの被害は液状化がもたらしたものですが、安政南海地震の規模(M8.4)が昭和南海地震の規模(M8.0)の4倍の大きさであったことから、液状化の程度と範囲がより大きかったものと考えられます。

次の資料秋岡家文書『先考遺筆」には現倉敷市周辺の被害状況が記録されており、聞き慣れた地名の惨状に驚かされます。
(○囲み数字は下記の地図内の番号)

資料 秋岡家文書「先考遺筆」

川入村(現倉敷市川入)名主秋岡惣五郎が地震直後に、岡山近辺まで歩き、惨状を記録したもの。
記述は精彩に富み、被災現場での液状化の様子などが克明に記されている。

次回は発生が予想される「南海トラフ地震」についてみていきます。

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